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静子の日常/井上荒野

お年寄りと呼ばれるのはまだ先のことであっても、老後は周囲の人にかわいがられるおばあちゃんになりたい、と考える女性は多いのではないでしょうか。

しかし、ワタシは、かわいいおばあちゃんよりもかっこいいおばあちゃんになりたいですね。

本書の主人公 静子サンはかっこいい75歳です。

老後を意識したくないワタシでさえ、こんなおばあちゃんになれるのなら、年を取るのもいいかも、と思ってしまいます。


静子の日常静子の日常
(2009/07)
井上 荒野

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息子 愛一郎、その嫁 薫子、高1の孫 るか、と暮らす静子の趣味は水泳で、フィットネスクラブに通う日々を送っています。

フィットネスクラブでは様々な人間関係が渦巻いているのですが、静子はそれをさらりとかわし、適度な距離を持って、付き合いをしています。

家族に対しても出しゃばることなく、付かず離れずの関係を築いて、穏やかな同居生活を送っています。

自分のスタンスを崩すことなく、年上、年下に関わらず、周囲の人々とうまく距離を保ち、また間違っていると思うことはさりげなく正そうとする素敵な75歳ですが、実は誰も知らない甘く密やかな秘密を持っていて・・・。




静子は相手の言うことに対して聞く耳は持っているけれど、それに振り回されたりしない「ニュートラル」な人です。

心を開いてくれない人にすねることもなければ、心を許してくれた人に過剰反応することもない、気持ちが一定の人なのです。

なので、周囲が「姑と同居なんて!」と気の毒がっても、嫁の薫子は静子と暮らすことが全然嫌ではなく、むしろ心地よささえ感じています。



静子の素晴らしさは、過去を悔やむことなく、現在を嘆くこともなく、今を生きているところでしょうか。

年を取ると、人間はどうしても愚痴っぽくなり、若い人にイヤミのひとつも言ってみたくなるものです。

けれど、静子にはそういう部分が無く、冷静な目でさりげなく物事に対処していくところが、年を重ねなければ身に付かないかっこよさのように思います。

年下の者とも付き合うけれど、迎合したりしないところが、ワタシにとっての理想の75歳なわけですね。



かつては、雑誌でファッションを語るのは20-30代だけのものでしたが、最近は年齢層が上がり、40代、そして50代さえも対象とするファッション雑誌が続々登場しています。

なのに、それより上の年代になると、とたん「膝の痛みを無くす体操」だったり「年金で慎ましやかに暮らす」といったものが、雑誌のテーマとなってしまうのは、まだまだオンナを現役(だと思っている)のワタシには、ちょっと不満です。

きっと、ワタシぐらいの年齢の人が60-70代になる頃には、「O脚でも大丈夫!膝丈スカートのはきこなし方」だとか「老眼鏡無しでもできるネイルアート」といったものが雑誌のテーマになっているのではないでしょうか。

ただ、いずれにしてもお年寄り感が漂ってしまうのは、否めないのですが・・・。


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年下の男の子/五十嵐貴久

男性が女性より年下のカップルって、どう思われますか。

本書に登場するのは、男性が女性より14歳下のカップルです。

そんなの、ありえなーい!とおっしゃる方もおられると思いますが、これを読むと、主人公である彼女が戸惑い思い悩む姿が切なくて、こんな恋愛してみたいな、と思われるようになるかもしれませんね。


年下の男の子年下の男の子
(2008/05/16)
五十嵐 貴久

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37歳で独身の晶子は、結婚を諦めたわけではないのですが、将来のことも考えてマンションを購入します。

「銘和乳業」の広報課に勤める彼女は、担当する仕事にトラブルが発生し、取引先のPR会社「青葉ピー・アール」の契約社員である児島と2人で、「銘和乳業」の新製品の広告を掲載したフリーペーパーに訂正シールを貼るという作業を徹夜で行うことになります。

その後、銘和乳業の担当者となった児島に対して、晶子はその仕事ぶり、人柄に好感を抱きますが、14歳という年の差もあり、恋愛の対象として見ることはありませんでした。

しかし、児島は、晶子の引っ越しを手伝ったりしながら、徐々に彼女との距離を縮めていき、控えめながらも彼女にアプローチしていくのにも関わらず、年齢にこだわる晶子は彼の気持ちが信じられず、断り続けるのですが…。


アラフォー女性と一回り以上年下の男性との恋愛とはいえ、最近流行りの「熟女好き」という言葉では片付けたくない、切なくてけなげなストーリーです。

晶子は、責任感を持って仕事をこなし、結婚に対しても消極的でもなければ貪欲でもない、ほどほどの恋愛経験を持つ、ごく普通の等身大の女性です。

また、児島も一見頼りなげでありながらも誠実に仕事をこなす、これまたごく普通の、どちらかといえばイケメンの部類に入る男性です。

14歳差という、あまり一般的ではない恋愛をするようには見えない2人のなかなか進まない関係が中学生みたいで、じれったくてもどかしいのです。

そして、別れがみえる恋愛はしたくないと、児島のアプローチに消極的だった晶子が付き合っていくうちにどんどん彼に気持ちが傾いていき、そうなると、今度は別れたあとの傷が深くならないうちに終わらせようとする姿が切ないんです。

筆者が男性だとは信じられないほど、年上である晶子が自分よりずっと若い児島に抱く負い目の描写が秀逸で、その思いが痛いほど伝わってきます。


あまり多くなさそうな年の差カップルですが、意外と多いみたいですね。

お母さんがお父さんより9歳上、という友人がいるのですが、不思議なことにこのご夫婦、どう見てもお母さんのほうが若く見えるんです。

ワタシの周囲の年の差夫婦にはこういうことがよくあって、ご主人、奥様のどちらが年上であるかに関わらず、ご夫婦が並ぶと実際の年の差ほど年齢が離れているようには見えないことが多いです。

ということは、オットがワタシより6歳上のウチの夫婦も、多少はその傾向にあるのかもしれません。

オットが若づくりをしているからなのか、ワタシが老けているからなのか、はわかりませんが、こういうことは知らずにいたほうが幸せなんでしょうね…。



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恋は、あなたのすべてじゃない/石田衣良

タイトルは「すべてじゃない」となっていますが、ワタシは「恋がすべて」みたいな状況になってみたいですね。

おそらく、そのようなことはまず起こらないと思いますが。

本書は、恋愛の指南書的な内容なのですが、それだけではなく、恋とは関係なく、心地良く日々を送るためのアドバイスようなものも載せられています。

恋は、あなたのすべてじゃない (青春文庫)恋は、あなたのすべてじゃない (青春文庫)
(2008/09/09)
石田 衣良

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いくつかの章にわかれて、男性である筆者が女性にありがちな恋の悩みにアドバイスをしています。

これを読むと、男性と女性の恋に対するスタンスの違いがよくわかります。

恋をするとそれだけになってしまいがちな女性とは違い、男性は「仕事も大切、自分ひとりの時間も大切、それ以外の人生の喜びのひとつに恋愛もある」と考えている人が多い、と筆者は述べています。

確かにそうかもしれません。

しかし、女性の立場から言わせてもらうと、恋は「別腹」ですから、どんなに忙しくてもどっぷりのめり込むことができるのです。

その他、「女性は(未来のことを)約束をしない男性を責める傾向にあるが、そう簡単には約束しない男性ほど信頼できる」とも述べています。

うーん、これもわかります。

でも、女性は大事なことを言ってほしいんですよね。

そして、ジェラシーについては、「彼への恋愛感情から出ているのはでなく、プライドだったり、恋愛という勝負から降りられないという意地だったりする」と筆者は言っています。

これも的を射ていると思います。

ただ、ワタシ自身は、かなり粘着質な性格にも関わらず、相手の女性に対して嫉妬心を抱くということはあまりないほうですね。

おそらく、自分に自信がないので、「その人のほうがいいというのなら、仕方が無いな」と思ってしまうんでしょうね。

しかし、彼の仕事や趣味というものに対しては嫉妬するほうですね(やっぱり粘着質)。

オットとの交際初期に、続けて何回か仕事のためにデートをドタキャンされたことがあり、そのときはスネたりもしました。

しかし、それからウン十年が過ぎて、大晦日に呼び出されて「今日中に帰れないかもしれない」と言いながら出勤していくオットに、「一緒に年越しできないの?」などとわがままを言うこともなく、「それでは、良いお年を」と年越しの挨拶をしてオットを送り出す、礼儀正しい妻となりました…。

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ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

ぬれ衣を着せられたことって、ありますか。

トイレに入っていないのにトイレの電気をつけっぱなしにしていたとされた、などという些細なものまで含めると、ぬれ衣を着せられた経験をお持ちの方は意外と少なくないのではないのでしょうか。

しかし、本書のようなものになると、ぬれ衣という言葉で片付けられるレベルではなくなりますね。

ホント怖いです…。


ゴールデンスランバー (新潮文庫)ゴールデンスランバー (新潮文庫)
(2010/11/26)
伊坂 幸太郎

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仙台での新首相就任凱旋パレードの最中に、ラジコン爆弾によって、首相が殺害されます。

その直後、青柳は犯人として警察に追われることになります。

全く身に覚えのない青柳が無実を叫ぼうにも、警察は執拗に彼を追い、テレビでは彼が行ったことのない場所での彼の目撃証言が次々報道され、彼は追い詰められながら逃げ続けるのですが…。


700ページ近く(文庫本)もある長編にも関わらず、わりとグイグイ読めました。

結末が早く知りたくて読み急いでしまった、という感じでしょうか。

青柳はつかまるのか、つかまらないのか、本当の犯人はだれなのか、急き立てられるようページをめくりました。

首相暗殺、巨大な陰謀に陥れられる一般市民、市民の全てを管理しようとするシステムなど、硬質な題材がいくつか盛り込まれているのですが、それほど硬い感じはしませんでした。

おそらく、青柳の大学時代のサークルの仲間たちとのエピソードが、硬派一辺倒の小説になるのを防いでいたような気がします。

そして、サークル仲間でもあり恋人でもあった晴子が、別れてから青柳とは1度も会っていなかったのに、事件を知って彼の逃亡を手助けするのですが、晴子は結婚していて娘もいて、2人の間には恋愛感情は無い(と思われる)のに、強い信頼関係で結ばれているのがうらやましくなりました。

いい恋愛をすると、別れたあともいい関係が保てる、と聞いたことがあるのですが、これがまさにそうなんでしょうね。


ところで、晴子の4歳の娘 七美が「白ヤギさんからお手紙着いた。黒ヤギさんたら読まずに食べた」というあの有名な童謡を口ずさむ場面がたびたび出てくるのですが、晴子はこれを聞いて、「片思いやすれ違いをモチーフにしているようで、切ない歌だな」と思うのです。

確かにそう聞こえないこともないですね。

手紙だとわかりにくいのですが、メールに置き換えるとよくわかります(ヤギは携帯は食べないとは思いますが)。

常々(というほどでもないですが)思うのですが、ワタシの独身の頃にメールなんてものが無くてよかったな、と。

ワタシはメールの返信が無かったりすると、「ワタシのことを嫌がっているんだ」と凹んでしまうので、これを恋愛に取り入れたりすると、ものすごぉーく心が消耗するに違いありません。

心臓に毛が生えてそうなワタシですが、なぜかメールに関してだけは、ガラスのような繊細な心を持っているようなのです…。


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いま、会いにゆきます/市川拓司


本書は数年前に竹内結子と中村獅童主演で


映画化され、確かこれをきっかけに2人は結


婚したのではなかったでしょうか。


といっても、ほどなく離婚しましたが。


ワタシは映画は見ていないのですが、竹内


結子はわりとヒロインのイメージ通りかなと


思いましたが、中村獅童はこの主人公とは


ちょっとイメージが違うような気がしたのです


が。


本のはなし ホンの少し


小学1年生の息子 佑司と暮らす「ぼく」は、6


月のある雨の日に、散歩に出かけた森で1年


前に亡くなった妻 澪にそっくりの女性に出会い


ます。


澪が亡くなる前に残していた「雨の季節になっ


たら戻ってくるから」というメッセージを信じて、


記憶を失っている彼女が全くの別人なのか、


幽霊なのかわからないまま、連れて帰ります。


「ぼく」は澪に、彼女が既に亡くなっているとい


うことを隠して、2人の出会いから現在までの


幸せな日々を伝えます。


しかし、佑司が澪のいる生活に慣れ始めた頃、


澪が生前に残していたもう1つのメッセージで


ある「夏が来る前に帰る」日が近づいてきまし


た…。






以前バラエティー番組で、一般女性が次々登


場して、これまでの恋愛の回数(というか、セッ


クスした彼氏の人数)を競うというのを見たこと


があります。


そちら方面をあまり得意としないワタシは、彼


女たちの口から飛び出す信じられない数字に、


「ほぉーっ」というため息とも感嘆ともつかない


声を発しながら見ていたのですが、本書を読


んだら、なんだかそのことがものすごく下らな


く思えてきました。


恋愛なんて、一生に1回だけでいいのかも知れ


ません。


「ぼく」と澪は高校の同級生だったのですが、真


面目でおくてで不器用な2人は大学生になって


からようやく交際と呼べる状態になり、そこから


次のステップに進むのにも、ものすごく時間が


かかっています。


けれど、何年経っても、どちらかが亡くなっても、


ずっと隣にいたい、と2人は思い続けているので


す。




しかし、決して順風満帆なだけの交際だったとい


うわけでもないのです。


「ぼく」は原因不明の病気を発症して大学を中退


することになり、澪にはふさわしくないと思い、別


れを決意します。


澪が自分に愛想をつかすように、手紙の返信を


遅らせてみたり、デート中に話を聞いていないふ


りをしてみたり、特に用があるわけでもないのに


会えないと言ってみたり。


これって、自分から別れを切り出すのではなく、


自分がふられるように持っていって別れるという、


一見思いやりのある行為のように思えなくもない


のですが、実はものすごくズルいやり方です。


男性がよく使う手で、少し形を変えたものに、自


然消滅に導くというやり方もあります。


でも、一般的に女性は、このようなうやむやにす


るのを好みません。


なぜなら、女性は白黒をきっちりつけたいのです。


特に、ワタシはせっかち(関西弁ではイラチ)で、


すぐに白黒つけたいほうです。


そう言えば、子どもの頃はオセロが得意で、オセ


ロの女王と呼ばれていました…。




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