FC2ブログ

円朝の女/松井今朝子


芸人といえば、今も昔も派手に女遊びする人


というイメージがありますよね?


芸のこやし、などと言って。


本書は、江戸末期から明治時代に活躍した


落語家 三遊亭円朝 (実在した人物なのかど


うかはわからないのですが) の女性遍歴を


付き人の目線で描いたものです。


しかし、芸のこやしと呼ぶにはあまりにも切な


い恋の話ばかりでした。


本のはなし ホンの少し


5編にわたって、5人の女性が登場するので


すが、円朝の養女「せつ」以外は円朝に惚れ


て惚れられる女性ばかりです。


没落寸前の武士の娘だったり、花魁だったり、


芸者だったり、と相手はいろいろですが、さす


が芸人だけあって、無粋な恋はしません。


しかし、芸人でありながら女性には真摯な態


度で向きあう彼は、いずれの女性に対しても


常に真剣です。


本人たちが語っているわけではないので、実の


ところはわからないとしながらも、そばで見て


きた付き人が語る男女の姿は、本人たちが決


して語ろうとしないであろう切ない様子までも浮


かびあがらせてくれます。




その中の 「其の三 すれ違う女」 は、既に恋仲


になっていた武士の娘 お里 と円朝が待ち合わ


せ場所でうまく会えなかったことから、その後


なんとなく別れに至る話です。


この様子、すごくよくわかります。


待ち合わせで会えなかったことが問題なので


はなく、お互いの思い込みが違った方向に道


をつくっていく感じが、泣きたくなるほどよくわ


かりました。



最近、雑誌で読んだ 「楽になる人づきあいの方


法」 という特集記事の中で、「全ての人が自分と


同じように考えるわけではない、ということを認識


しましょう」 というのがありました。


これって、恋愛中の男女にもあてはまると思いま


せんか。


「私がこんなに会いたいと思っているのに、彼が


会おうとしないのは、私のことがもう好きではない


から」 と思いこむような場合がまさにそれですね。


ケンカしてもいいから話をすればすぐにわかり合


えることなのに、粋な恋愛はそれを拒むものだか


ら、ややこしいんです。



やせ我慢する粋な恋愛は切なくて胸を痛めますが、


周囲の目を気にすることなく、ベタベタ、イチャイチャ


する「バカップル」と呼ばれるような恋愛は、胸では


なく、本人たちがイタいです…。




いろんな書評が読めます。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

人気ブログランキングへ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

女ともだち/真梨幸子


このタイトルと装丁から、「辛辣なことを言い合


うけれど、実は固い友情で結ばれている女同


志の友情にほろりとさせられる」、というような


内容をイメージしたのですが、全く違いました。


猟奇的な殺人事件の真犯人を追いかけるミス


テリーでした。


本のはなし ホンの少し


ライターの野江は、署名入りのライターとして


表舞台に出ることを目指して、同じ日に、同じ


マンションで2人の女性が殺害された事件を追


い、ルポを書き始めます。


殺された女性のうち1人は子宮をナイフでえぐ


り取られるという猟奇的な方法で殺害されてお


り、マスコミは彼女の生前の姿を過熱気味に


報道します。


その結果、彼女が売春をしていた事実が明る


みに出て、その客であった男性が犯人として


逮捕されます。


野江は彼の裁判を傍聴し、無実を訴える彼は


犯人ではないと判断し、別の方向から事件を


追いかけますが、彼の無実を立証するには


至りません。



そんなとき、その男性が獄中で自殺を図り、そ


の母から遺書の提供を受けた野江は、自分の


考えが最初から間違っていたことに気が付き、


ようやく真実にたどり着きます。







犯人とされた男性以外の登場人物のほとんど


が女性で、その女性たちの嫉妬心と負けたく


ないという思いが交錯し、登場するたび、「彼


女こそ犯人では?」 と思わせられました。


最後は、そこにきたかー、というのが正直な


感想ですね。


どういう意味なのかは、読んで判断して下さ


いね。




大人になると、男性が負けたくないと思うもの


は出世と収入ぐらいで、しかも、特定の誰か


を相手にして負けたくないと考えたりしないよ


うに思います。


ワタシが知らないだけで、本当はそんなこと


はないのかも知れませんが。



しかし、女性は違いますね。


どんな、つまらないことにでも勝負をかけてい


きます。


しかも、相手を限定して。



ウチの夫の年収が○○さんのご主人の年収


を上回ってほしい。


とか、


ウチの子の成績は△△さんのお子さんより上


であってほしい。


とか。



これ、よく見るとわかりますが、当の本人は全


く参戦できないものばかりです。


つまり、自分は土俵に入らず、夫や子どもの


土俵を借りて、勝負しようとしているわけです


ね。


ときには、ペットの犬でさえ、勝ち負けの対象


になるのですから、女の人は自分は何もせず、


ヒトのお尻を叩くのが得意みたいですね・・・。



ランキングに参加しています。クリックおねがいします m(_ _ )m


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ


blogram投票ボタン
blogramランキング参加中!

吉原手引草/松井今朝子


「吉原」というと、江戸時代の遊郭でどういう


ところなのか、なんとなくご存知の方は多いと


思いますが、本書を読むと、遊女たちは流さ


れて、ただ囚われの身で生きているのではな


く、意思を持って生きていることがわかります。


本のはなし ホンの少し


吉原一の花魁といわれた葛城が起こした事件


を調べる『謎の誰か(名前も姿も声もでてきま


せん)』に、吉原に関わる人々が話をしていく


という形で物語は進みます。



吉原でも格の高い大見世にあがるための世話


をする引手茶屋のお内儀、遊女たちを見張る


遣手ばあさん、遊女と客が床に入るまでの準


備をする床回し、遊女が客に自分の指を送っ


て客の心を繋ぎ止めようとしたことに由来して


偽物の指を作るようになった指切り屋、身内か


ら売られた娘と遊郭を仲介する女衒、その他


花魁葛城が初めての女性だったという大店の


若旦那、等々ありとあらゆる吉原に関わる人々


が自分の立場と花魁葛城との関わりをその


『謎の誰か』に話をしたあと、「あの人ならもっと


よく知っているかも」と次に『謎の誰か』が訪ね


る相手を挙げていきます。



そうして、ようやく『謎の誰か』は花魁葛城の


出自と彼女が起こした事件に行き着きます。


同時に、その身元も明かして。





時代物、しかも吉原を舞台にしていながら、


ミステリーの要素も取り入れていて、かなり


おもしろく読めました。


さすが、直木賞を受賞しただけのことはあり


ますね。



吉原の遊女たちは、大門と呼ばれる出入口


から外に出ることを許されず、また好きでも


ない男性の相手をしなくてはいけないのです


から、そのつらさは並大抵のものではないと


思います。


でも、客の中には心を通わせることができた


男性もいたはずで、それ故心中も絶えなかっ


たんでしょうね。


そう考えると、大きなお屋敷で多くの使用人


たちにかしずかれて何不自由なく暮らしながら


も、夫である殿様が側室の元に入り浸って、


しかもそちらに子を成している、という奥方様


かどちらがより不幸か?というと、難しいところ


ですね。



いずれにしても、自由のない生活はつらいで


すね。


野放しに近いワタシが言っても、あまりありが


たみがありませんが・・・。




クリックおねがいします(^_^)v

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ
人気ブログランキングへ


blogram投票ボタン
blogramランキング参加中!



駅路/最後の自画像



日曜日(3/7)の新聞の書評欄で


ぜひ読んでみたい本を見つけ


ました。



松本清張と向田邦子の作品が


1冊に収められた、評者いわく


「夢のような本」です。



本のはなし ホンの少し


しかも、ただ2人の作品を集めた


というのではなく、松本清張の短編、


それをドラマ化した向田邦子の脚本、


プロデューサーの証言と編集者の


解説からなるそうです。



松本清張の作品の登場人物は


行間にはあらわれていますが、


表だって心の内を描写されて


いないことが多いため、ドラマ化


されたものを見ると、確かに原作


どおりなのに、印象が違うと感じる


ことがワタシはあります。



それを、作家として超一流であり


ながら、脚本家としても超一流の向田


邦子の脚本で解明されるのですから、


この小説と脚本の読みくらべ、ぜひとも


してみたいですね。



この2人のように、死後も読み続けられ、


ドラマ化され続ける作家というのは少ない


ようですね。



いつまでも読まれる作家というのは、


何回でも読みたい、ストーリーがわか


っていても読みたい、という作品を多く


書いていますね。



くわえて、独自の世界を築いていながら、


奇をてらっていない、という気がします。



人間にあてはめてみると、存在感のある


人って、まさにこういう人だと思いませんか。



本も人間も同じですね。



でも、本が薄っぺらいのは構いませんが、


人間が薄っぺらいのはどうも・・・。




にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村





一年半待て/松本清張




社会派と呼ばれ、長編小説を多数書いている


松本清張ですが、ワタシは、短編のほうが


人間の内面を鋭く表現しているような気がして、


好きですね。




とエラそうなことを言っていますが、そんなに


数多く読んでいるわけではありません。




その中からワタシのお薦めは、


『一年半待て』です。



本のはなし ホンの少し



主人公さと子の夫要吉は、仕事もせず、


ギャンブルにのめり込み、酒に飲まれ、女に


おぼれ、自堕落な生活を送っています。



そのうえ、さと子や子ども達に暴力をふるう


ようになり、耐えられなくなったさと子は


とうとう要吉を殺してしまいます。



しかし、彼女の身の上に同情した女性運動家


が彼女を支援した結果、情状酌量で執行猶予


となり、実刑はまぬがれます。



その後、その女性運動家のもとに1人の男性が


現れ、さと子が彼に言った「1年半待って」の意味


を話し始めます。






ワタシは誰かを殺したいと思ったことはない(多分


思われたこともないはず)のですが、この状況だと、


思うかもしれません。




誰かを殺してでも、幸せをつかみたいという思い、


わからなくはないですね。



実際に行動にうつすかどうかは別にして。



読者をここまで説得するのですから、松本清張と


いう人は、やはりスゴいですね。




ところで、松本清張と太宰治が同じ年齢(といっても


どっちも故人ですが)って、ご存知ですか。




去年生誕100年だったので、ご存知の方も多い


かもしれませんが、活躍した時期が全く重なって


いないと、こんなにも意外に思えるんですね。




才能を早く開花させるか、後に開花させるか、の


違いですね。




開花させるべき才能がないワタシは、早くても


遅くても、才能があるだけうらやましいです・・・。






にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村







プロフィール

keishomom

Author:keishomom
お引っ越ししてまいりました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR