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グラニテ/永井するみ

息子しかいないワタシには、娘というのは羨ましくてたまらない存在ですね。

会話の途中で、相手の方が「この前、娘とショッピングに出かけて…、」などと口にされたりしたら、羨ましさのあまり、かるーく凹むことすらありますから。

しかし、本書を読んで、息子でよかったかも?と思いました。

母親にとって、息子は異性ですが、娘は同性ですから…。

グラニテグラニテ
(2008/07/25)
永井 するみ

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脳梗塞で突然夫を亡くした万里は、特技のお菓子作りを活かして、カフェを始めます。

10年を経て、万里のカフェ『ラ・ブランシェット』は支店を持つほどに繁盛し、幼かった娘の唯香は高校生になり、そして、万里自身も一回り年下の映画監督の凌駕(りょうが)と恋愛関係を持ち、満たされた日々を送っています。

しかし、凌駕が、唯香を次回の作品に出演させたい、と言い出したことから、穏やかに回っていた歯車が狂い出します…。




万里とはかなり境遇が違いますが、ワタシとは同年代であり、高校生の子を持つ母ということで、かなり感情移入しながら読みました。

我が子を見ていて思うのですが、高校生というのは、中学生の頃のやたらめったら親に反抗した時期(ホント面倒くさかった!)とは違い、自分のしたいことと親の意向を巧みに天秤にかけているような気がします。

親のアドバイスを聞きながらも(というより、聞き流しながらも)、それを受け入れるわけではなく、自分の考えを譲る気はないのです。

男女平等と言われて久しいですが、女性が産む性である以上、人生の選択において、真の男女平等は難しいのではないかと思います。

なので、男性の人生を歩んだことの無いワタシは、息子の選択がワタシが思うものと多少違っていたとしても仕方が無いと思えないことも無いですが、娘に対してはそうはできないと思います。

もし娘がいたら、自分が出来なかったことをたくしてしまいそうな気がするのです。

万里もたくそうとはしないまでも、自身が信じる女性としての正しい道を唯香に歩ませようとしてしまうのです。



そのうえ、万里は、唯香が自分の恋人である凌駕に想いを寄せ始めるのを目の当たりにしてしまいます。

聡明な彼女は、年下の恋人とはいつか別れる運命であると認識しながらも、その相手が娘であることに苦しみます。

年齢というのはどうにも動かし難い存在であり、年をとることで内面を磨くことはできても、外見はどうしても若さに勝つことができない、とワタシは思うのです。

なので、もしワタシに年下の恋人が出来るようなことがあったとしても、年上であることが引け目となり、正直な想いをぶつけることなど、ぜーったいに出来ないような気がします。

万里もそうなのです。

女性が年上のカップルがもてはやされるようになってきましたが、やはり、当の本人にとっては、年上であることは引け目でしか無いと思います…。



『ラ・ブランシェット』は、おいしいケーキが食べられるカフェとして描かれています。

コーヒーだけでも癒されるワタシですが、そこにおいしいケーキが加わると、よりいっそうシアワセな気分になれるので、『ラ・ブランシェット』に行ってみたいですね。

若かりし頃は、ブラックでコーヒーを飲めるようになったらオトナだな、と思っていました。

しかし、念願のオトナになって(?)、砂糖もミルクも入れないコーヒーしか飲まなくなると、事情が少し違ってきました。

『スタバ』のようなカフェに行ったときに、舌をかみそうな名前の飲み物を楽しめないのです。

甘い飲み物があまり好きではないワタシは、コーヒーはキャラメルや生クリームが入ったものよりブラックのほうがしっくりくるのです。

しかし、舌をかみそうな名前のコーヒーを楽しめない理由はそれだけではないのかもしれません。

「ャ」や「ョ」や「ー」を多用した名前は、メニューを見ながらでも、店員さんに正しく注文することが難しいのです。

かつて、小バカにしていた「パーティー」を「パーチー」と発音する大人に近づいてきたということでしょうか…?


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傍聞き/長岡弘樹

面と向かって誉められると、なんだかお尻がこそばゆくなったりしませんか。

でも、自分のことを誉めてくれている人が、そのことを他の人に話しているのを聞いた場合だと、すんなり受け入れられたりしませんか。

傍聞き(かたえぎき)というのは、聞かせたい本人に直接言うのではなく、聞かせたい人の耳に入るように他の人に話すことで、その本人に知らせるという方法です。

本書は、表題作を含む4編からなる短編集です。

傍聞き傍聞き
(2008/10)
長岡 弘樹

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同僚だった夫を亡くして、6年生の娘 葉月と暮らす刑事の啓子は、家の近所の老婆の家に泥棒が入ったことを知ります。

別の殺人事件を捜査中の啓子は、娘が幼い頃にその老婆に世話になったこともあり、それとなくその事件の捜査の進展状況を気にかけていました。

まもなく以前啓子が逮捕した横崎が逮捕されるのですが、その横崎が拘留されている留置場の警察官を通して、啓子に面会に来てほしいと連絡してきます…。


「傍聞き」は、第61回日本推理作家協会賞を受賞した作品なのですが、確かに受賞するだけのことはある、と頷かせてくれる内容です。

この傍聞きというものですが、ここでは、真犯人の逮捕に至る場面と、葉月が老婆を思いやる場面で使われているのですが、一般的にわりとよく使うのではないでしょうか。

かくいうワタシもよく使います。

オットが頼んだことをなかなか実行に移してくれないときなどに、本人に面と向かっていうのではなく、オットの耳に届く場所で、子どもに向かって、

「お父さんが全然××をしてくれないから、お母さんの予定が立てられなくて、ホント困る!」

などという使い方です。

それ以外にも、こんな使い方もします。

自慢するのが好きな方が、例えば「ウチの子は○○のテストでいい点を取った」というようなことを吹聴されているときに、そのお子さんよりいい点数を取ったお子さんがいるのをワタシが知ったとします。

そんなことを、わざわざその自慢好きの方に面と向かって言うのも大人げないけれど、でも黙っていられないワタシは、その方に聞こえるように、他の方に「△△くんは○○のテストで●●点(自慢好きの方のお子さんよりいい点数)取ったんだって。」などと言ったりします。

傍聞きをフル活用しているワタシですが、本書とは違って、嫌味な使い方しかしていないようです…。


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女の好きな10の言葉/中島義道


このタイトル、ワタシは『女の(言ってもらうの


が)好きな10の言葉』だと思ったのですが、実


際は『女の(言うのが)好きな10の言葉』でした。


筆者は、古今東西の小説、戯曲、映画、歌な


どからの引用をもちいて、女の(言うのが)好き


な言葉を解き明かしています。


本のはなし ホンの少し


ここに登場する10の言葉は、「こんなこと言


う?」というものから「これは結構言うかも」と


いうものまで判断が分かれるところなのです


が、引用のほうはおもしろく読めました。


引用がその言葉を忠実に解き明かしているか


といえば、そうともいえず、かなり脱線したり


しているのですが、その引用元の作品を紹介


しているものだと思うと、読んでみたい小説、


見てみたい映画をいくつも見つけることができ


て、ちょっとお得な気分になれました。



全編を通して筆者は、「女性は夢見がちで、常


に男性の目を意識する愚かな存在である」と


いった主張を根底にしのばせている(ように思


える)のですが、そうではない女性に男性は惹か


れたりはしないと思うのですが。


「夢を見ることなく常に現実的で、男性の目を気


にすることのない賢い女性」に、魅力を感じる男


性がいるのでしょうか。


質実剛健というのは、人間としては評価されて


も、女性としてはどうなんだろ…?と思います


ね、ワタシは。


ワタシはわりとスカートが好きで、同年代の女


性に比べるとスカートをはくことが多いと思うの


ですが、これを「冷えるからスカートはやめよう」


なんてことを言い出すと、オンナとしては終わり


だな、と思うのです。



女性というのは、スーパーでカレーのルーの値


段が思っていたより20円高いだけで買おうか、


買うまいか、悩むのですが、そのあと、そのルー


の値段の何倍もする口紅を何のためらいもなく


買うことができる生き物なのです。


といっても、それはワタシだけなのかも知れませ


んが…。



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小さいおうち/中島京子


家事代行サービスを利用されたこと、ありま


すか?


チラシを見る限りでは、料金もそんなに高く


ないようなので、1度頼んでみたいなぁ、と思


わないこともないのですが、よく知らない人に


家の中をウロウロされることを思うと、腰が引


けてしまうのです。


根っからの庶民なので、仕方がないのかもし


れません。


本書は、女中のいる家庭というものがそうめず


らしくなかった古き良き時代の、女中とその雇


い主である家族との物語です。


本のはなし ホンの少し


様々な家庭に女中として勤めてきたタキは、


80歳を過ぎて、最も思い出深い平井家で働


いていたときのことを書き残し始めます。


タキは、前夫に先立たれた後、幼い息子を連


れて嫁ぐ時子にとともに平井家に入り、女中


として働き始めます。


時子奥様、恭一ぼっちゃん、旦那さまと、赤い


屋根の小さな家で暮らす日々はタキにとって


忘れられない幸せな日々でした。


しかし、戦争の影が日ごとに増していき、そし


て、時子奥様の秘めた恋に気付いたタキは…。






舞台となった昭和初期は、女中というものの概


念が今とは違い、未婚女性が結婚するまでの


間、行儀見習いのために働く、という感じだった


ようです。


そして、そのお宅で婚礼支度を整えてもらって


お嫁に行くということがめずらしくなかったそう


です。


仕事の内容も、ただ家事をこなすだけではなく、


一家の主婦である「奥様」と相談しながら、その


お宅を切り回す、いわば「奥様」の秘書的な役


割も担っていたようです。



分をわきまえた態度と優れた家事能力で、平井


家の人々から愛されたタキでしたが、平井家を


去る前に初めて時子奥様の道ならぬ恋に意見


します。


しかし、それは、時子奥様のためだけではなく、


タキ自身が胸の内に秘めた思いのためでもあ


りました。


思いを伝えることはできなくても、好きな人のそ


ばにいて、同じ時間を過ごすということは、相思


相愛になる以上に幸せなことなのかもしれませ


ん。


きれいな思い出だけしか残らないのですから。




しかし、女中って言葉、最近はあまり聞かなくな


りましたね。

そういえば、息子に、女中って何?と聞かれた


ことがありました。


家政婦という言葉は、市原悦子のおかげで十


分認知されているようですけど…。



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漢方小説/中島たい子


漢方といえば、副作用がなく、穏やかに症状を


緩和する、といったイメージがありませんか?


必ずしも、そうとは言い切れないらしいのです


が。


本書は、原因不明の胃の痛みを発症した31


歳独身女性の主人公が漢方医にかかることで、


徐々に回復するまでの話なのですが、この年


代の女性が抱くであろう心の葛藤を少々自嘲


気味に描いています。


本のはなし ホンの少し


かつて付き合っていて、プロポーズまでされた


彼と久しぶりに会うことになり、その場で結婚


すると聞かされた脚本家の「私」は、突然の発


作のため救急車で病院に搬送されるはめに


なります。


しかし、検査の結果、どこにも悪いところは見


られず、その後診察を受けたいくつかの病院


でも原因は判明することはなく、「私」は以前


かかったことのある漢方医のもとを訪れます。


イケメンの漢方医に処方された薬を服用しな


がら、心配してくれる飲み仲間たちと交流を続


けていた「私」は、自分の心の奥底にあるもの


にようやく向き合えるようになります…。






日々考えることといえば献立のことぐらいしか


ないような生活を送っているワタシにとって、責


任ある仕事を持って、自立している女性という


のは憧れですね。


しかし、これを読むと、バリバリ仕事をこなして


生活を楽しんでいるように見える女性が、意外


と脆い心を持っていたりするようなんですね。


やはり自由と安定は相反するものなのかもし


れません。




タイトルに違わず、本書は小説でありながら、


漢方の豆知識のようなものがあちこちに登場


します。


じっくり読めば、漢方の基本的な考え方を理解


できるようになるかもしれませんね。



漢方といえば、「良薬は口に苦し」といったイメー


ジをお持ちの方が多いのではないでしょうか。


かくいうワタシもそうなのですが。


でも、ワタシにとっての「良薬は口に苦し」といえ


ば、人間関係ですね。


ことわざの解釈とはちょっと違っていますが、「良


いものは最初は口当たりが良くない」という意味


で。


ワタシの場合、なぜか最初の印象が良くない人


のほうが、その後親しくなるという傾向にあるので


す。


なので、テレビで見る限りでは、ぜーったいに親


しくなりたくないと思っている叶姉妹(特に姉のほ


う)も、会えば意外と親しくなれるのかもしれませ


ん。


ただ、実際に会うことなんてぜーったいにないの


で、そういうことになるハズがないのですが…。



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