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晩鐘/宇江佐真理

殺人の大部分は、怨恨によるもので、顔見知りの者に殺害されていることが多いそうです。

しかし、本書は違います。

幼い頃に受けた心の傷を癒せないまま成長した武士が、殺害相手を選ぶこと無く、残虐な殺人を繰り返していくのです。


晩鐘 続・泣きの銀次晩鐘 続・泣きの銀次
(2007/11/16)
宇江佐 真理

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約10年前に岡っ引きの仕事からいったんは退いた銀次でしたが、ひょんなことから若い娘が被害者となる連続殺人に関わり、岡っ引きに復帰することになります。

監禁されていたところを銀次が助け出した絵草子屋の娘 お菊は、見るも無残なほど殴られ、骨折までしていました。

遺体で発見された他の被害者たちも同様で、銀次は唯一生き残っている被害者であるお菊から聞き出した情報をもとに、同心の表勘兵衛とともに探索を続け、なんとか下手人の輪郭をつかんだのですが、なぜか下手人は銀次たちの動きを把握しているようで、ようやくたどりついた証人も殺害されてしまいます。

そこから、銀次は仲間であるはずの人間の裏切りに気がつきます…。



岡っ引きというのは、専業の仕事ではなく、たいてい本業を持ちながら勤めることが多かったようです。

銀次もその例にもれず、親から受け継いだ小間物屋を細々と商いながら、十手を差しています。

岡っ引きの仕事に携わっていないときの銀次は、しっかり者の女房の尻に引かれ気味ながら、4人の子どもたちの成長に目を細める、模範的な家庭人です。

よく、家庭を顧みないことを得意げに口にするダンナ様がおられますが、ワタシはこういうのはあまり好きではないですね。

ワタシが既婚者だからかもしれませんが、結婚されている男性には奥サマのことを否定的な言葉で表現してほしくないのです。

たとえ不倫をしていたとしても、奥サマのことは絶対的な存在にしておいてほしいな、と思うのです。

ちょっとディープな表現になってしまいましたが、我が夫婦に関しては、両者とも清廉潔白です(と信じています…)。


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おひとりさまの老後/上野千鶴子

「おひとりさま」というのは、1人でレストランなどに行ったときに、お店の人が口にする決まり文句ですね。

ここでは、連れあいや子どもなど一緒に暮らす家族を持たない人のことを指しています。

おひとりさまの老後おひとりさまの老後
(2007/07)
上野 千鶴子

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本書は、そのような人が人生が残り少なくなったときにどのように過ごすかを、筆者独自の視点でさまざまな知恵を提案しています。

といっても、ノウハウを説いているわけではなく、1人で生きていくことの心意気みたいなものが書かれています。

筆者も言っているいるのですが、今現在、配偶者や子どもがいて「おひとりさま」ではなくても、さまざまな理由から老後は「おひとりさま」ではない保証はないので、愛するダンナ様とかわいいお子さんをお持ちの方も一読されてもいいのではないでしょうか。

「おひとりさま」はまだ先のことのようですが、最近子どもたちの親離れが進み、「おふたりさま」(オットと2人)になりつつあるワタシには、他人事とは思えなかったので。

「おひとりさま」歴の無い(1人暮らしをしたことが無い)ワタシは、昼食はまだしも、夕食をお店で1人でとったことがほとんどなく、老後に備えて何とかしなくては…、と思ったりしています。

なので、先日バツイチながら現在はダンナ様と小学生と2歳の2人の子を持つ友人から、「ダンナとケンカしたら、子どもを寝かしつけたあと1人で飲みに行くよ」というのを聞いて、ワタシも見習わねば、と思いました。

ただ、「ダンナとケンカ」のほうは、見習わないでおこうと思っているのですが…。

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富子すきすき/宇江佐真理


忠臣蔵といえば、浅野内匠頭の家臣である


赤穂浪士が正しくて、吉良上野介は悪人だと


されていますが、そう言い切ってしまってもい


いものなのでしょうか?


悪名高き上野介ですが、彼にも家族がいたの


ですから、人間的な部分もあったのではない


かと思うのですが。


本書は表題作を含む短編集で、表題作の「富


子すきすき」は、上野介の妻である富子が、


上野介亡き後、討ち入りに至るまでの出来ご


とを回想しています。


本のはなし ホンの少し


赤穂浪士が吉良邸討ち入りを果たした後、吉


良家は改易となり、富子は老後を失意のうち


に過ごしています。


富子の実家である上杉家に養子に出した息子


綱憲もそのあおりを受けて、41歳の若さで隠


居の身となります。


病がちとなった綱憲を見舞う富子は、今さら仕


方が無いことと思いながらも、何故こんなこと


になったのか、あれこれ思いを巡らせます。


上野介と内匠頭はなぜうまくかみ合わなかっ


たのか、家臣が仇討に出るのを止めなかった


内匠頭の妻あぐりと、上野介を仇討をしようと


した家臣を止めた自分の違い、そして、5代


将軍の綱吉はこの件をどうとらえていたのか、


など。


しかし、このつらい日々の中、富子は新婚時


代に閨で上野介が何度となく囁いた「富子す


きすき」という言葉を思い出します…。






現在に残る歴史というのは勝者の歴史なので、


真実を伝えているかどうかは疑問の残るとこ


ろでしょうね。


忠臣蔵も、事件当時の世間が赤穂浪士に肩


入れしたとされていますから、赤穂浪士側が


勝者と考えると、歴史は彼らに有利な方向に


多かれ少なから傾いていると考えてもいいの


かもしれません。



頻繁に映像化される忠臣蔵ですが、配役は


必ずといっていいほど、内匠頭は2枚目の好


青年で、上野介はいけ好かないじじいとされ


いますよね?


そのいけ好かないじじいである上野介が妻を


抱きながら、「富子すきすき」と言っていたと


思うと、ぷっ、と吹き出しそうになりました。


でも、なんとなくほっとした気分にもさせられ


ました。



歌や小説やドラマでは、頻繁に登場する「愛し


てる」という言葉ですが、実際にみなさんはお


使いになっているのでしょうか?


残念ながら、ワタシは使ったことも使われたこ


ともありません。


なんだか、恥ずかしくて…。


なので、ワタシは男女間で好意を表す言葉の最


上級は、「すき」だと思っております。


しかし、こちらのほうも最近は使っておりません


ので、すっかり錆びてしまっているかも知れませ


ん…。



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千の命/植松三十里


出産は、ほんの少し前までは命がけだったと


聞きます。


今でも、ごくまれに出産時に命を落とす方が


おられるとも聞きます。


本書は、江戸時代に産科における画期的な


医療技術を発見し、取り入れた賀川玄悦の


生涯を描いた小説です。


本のはなし ホンの少し


玄悦は井伊藩士の妾腹の子として生まれまし


たが、幼い頃に実の母である女中の八重が難


産の末亡くなったのを見て、医者を目指します。


京都に出てきて、弟子入り先を探しますが、思


うようにはいかず、くず鉄を集めて生計を立て


ながら、針・按摩師をしていました。


しかし、隣に住む妊婦が難産のため死の危険


にさらされたとき、玄悦はその大きな手と長い


指で既に死んでいるお腹の子を取り出して彼女


を助けたことから、それを回生術と呼び、ようや


く産科医としての道を歩み始めます・・・。






これを読むと、今では常識とされるお産の情報


が当時は非常識であったり、またその逆もあっ


たり、と驚きました。


今では逆子かどうかは妊娠末期になるまでにき


まるのですが、当時は陣痛が始まってから胎児


が頭を下にすると考えられていたようです。


また、産後すぐに横になると悪い血が頭にのぼる


からということで、産後10日ほどは座って過ごし


ていたそうです。


このような迷信に近い情報を、玄悦は様々な検証


を経て、現在につながる正しい出産の知識を見出


していくのです。


しかし、そのことで、彼は家族との間に溝を生じて


しまいます。


子宮に手を入れるのは不浄と考えられていた時代


に、彼がそれを行うことで家族は世間から冷たい目


で見られていたのでした。


確かに彼の仕事に対する熱意を見ていると、家族と


うまくやっていくのは難しいだろうな、と思います。



出産とは、命がけであると同時に、女として生まれて


築き上げてきた羞恥心というものを根底からひっくり


返してしまう行為のような気がします。


女の子は大抵、足を開いて座ってはいけないとしつ


けられているはずなのに、出産時はよく知らない人の


前で大きく足を開くのですから。


でも、仕方がないですね。


子どもを産む瞬間は、女性は男とか女とかいう性とは


別の性になっているのではないでしょうか。


ただ、出産して子どもが成長しても、たまに男でも女で


もない謎の性別の方もおられますが。


そういえば、以前住んでいた家の近くに、ワタシより年


下でありながら、子どもたちから「女のおっちゃん」と呼


ばれていた奥さんがおられました…。



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逆転(リベンジ)/牛島 信


「仕返し」というのは、あまり誉められた行為


ではありませんが、誰もが1度は考えたこと


があるのではないでしょうか。


血の気の多いワタシは、しょっちゅう考えます。


ただ、実際に行動に移すところまではいきま


せんが。


本書は、会社という理不尽極まりない組織に


煮え湯を飲まされた主人公たちのリベンジの


物語です。


短編集なのですが、短編というより掌編といっ


たほうが良さそうな短いものばかりで、どれも


胸がすく思いを味わえます。


本のはなし ホンの少し


約200ページの中に17の物語があるのです


が、その中の表題作「逆転」はリベンジそのも


のでした。


信頼していた上司であり、大学の先輩でもあ


る秋田に子会社への出向を打診された上和


住は、会社員の宿命と思い、その申し出を受


け入れることを決意します。


しかし、その後、秋田が上和住と同期入社の


社員を取締役にするために、目障りとなる上


和住を放出するための人事であることを知り、


彼ははらわたが煮えくりかえる思いをするの


です。


が、そんなとき、上和住のもとに高校の同級


生で弁護士の大木から電話が入り、事態は


急変します…。






ここに登場する主人公たちはいずれも50代で


会社での今後の居場所に明暗の分かれる世代


だと思います。


そして、若手の台頭というものに脅かされる世代


でもあるのではないでしょうか。


最近、50代半ばの方とお話する機会があり、そ


の方がおっしゃるには、


「若い頃は上の世代を目指してがんばってきて、


ようやく自分たちの時代がきたと思ったら、若手


を重用する風潮になって、自分たちの居場所が


無くなった。」


とのことでした。


確かに最近の世の中の流れは、若手を持ち上げ


る傾向にあるようですね。


経験ばかりを重視するのもどうかと思いますが、


若手、若手と祭り上げる風潮も、なんだかもったい


ないような気がしないのでもないのですが。



けれど、どこもかしこも若手の台頭が著しいですね。


我がオットはワタシより6歳上なのですが、結婚当初


「こんなに年下の者からこんなにエラそうなクチを叩


かれたのは初めて」と言われた記憶があります。


それからウン十年を経て、若手であったはずのワタ


シも大御所となり、オットもそのようなことをクチにし


なくなりました…。



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