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さよならの扉/平安寿子

余命わずかと宣告された夫から、愛人がいる、と告げられた妻の気持ちって、どんなものなんでしょうね。

ワタシなら、怒り狂うと思います。

愛人の存在に怒るというよりも、この期に及んで、そんなことを教えなくてもいいだろっ!のほうですけど。

そんなことは、こっそりお墓の中に持って行ってほしいのです。

本書の主人公は、末期ガンの夫から、愛人の存在とその連絡先を告げられるのです。


さよならの扉さよならの扉
(2009/03)
平 安寿子

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仁恵は、長女が就職し、次女が大学に入学して、子育てが一段落したと思ったところで、夫 卓己が末期ガンで余命わずかとの宣告を受けます。

死を前にした彼は、こともあろうに、仁恵に愛人の存在を告げ、名前と電話番号を書いたメモを渡します。

卓己を愛してはいましたが、物事を深く考えない仁恵は事態の深刻さが飲み込めず、よくわからないまま姉や娘たちの采配に従っているうちに、卓己の臨終の日を迎えてしまいます。

そして、卓己の臨終のまさにその瞬間、彼に寄り添うのではなく、臨終を知らせるために愛人の志生子に電話をかけるのです。

仁恵と同年代ながら独身で法律事務所で働く志生子は、仁恵の電話を訝り、距離を置こうとするのですが、仁恵のほうは、なぜか志生子と友だちになりたいと思い、頻繁に電話をかけるという、不思議な行動に出ます…。




仁恵は、いわゆる「イタい人」なのですが、こういう局面に立たされたときは、このようなイタい人の勝ちだな、と思いました。

ワタシなら、長年連れ添ったオットが死を目前にしている状態で、平常心でいられるとは思えませんから。

愛人である志生子のほうはごく普通の感覚を持っているので、仁恵に対して、申し訳ない、と思うことはあっても、友だちになろうとは考えられないのです。

当然だと思います。

ワタシも愛人という立場になることがあれば、奥さまに対しては、申し訳ない、という感情しか沸かないと思うのです。

(奥さまから)親しくなりたいと言われるぐらいなら、責めてほしい、と思ってしまうかもしれません。

だからといって、決してワタシが「М」というわけではないのですが…。



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罪びと/高任和夫

会社とは、こんなにもギスギスしているものなのでしょうか。

本書を読むと、大企業の内部がいかに殺伐としているか、がよくわかります。

本書は郊外のとあるスナック「順子」の常連である、出世街道から外れた商社マンや早期退職した元銀行マンが主人公となる短編集です。

罪びと罪びと
(2008/08/21)
高任和夫

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標題作の「罪びと」は、商社に勤める主人公 井狩の同期の深津が、1億円もの大金を横領して失踪したことから事件が始まります。

深津が会社の金を横領するようには思えない深津は、社内上層部からの指示もあり、事件の真相を調べていくうちに、家庭円満に暮らしていると思っていた深津が、妻とは家庭内別居の状態にあり、そのうえ年上の愛人がいることを知ります。

ようやく探し出した深津の苦悩に共感した井狩は、横領の真犯人が全く別の人物であることに気付きます…。


井狩は49歳なのですが、この年齢というのは、商社のみならず組織で働く者のその後の明暗をくっきり分ける時期のようですね。

確かに、新入社員の数と取締役の数はイコールではないので、50歳前後というのは、ふるいにかけられる時期なのかもしれません。

ここに出てくる出世コースにのった者たちは、仕事は大して出来ないけれど、自らの保身に走ることにはぬかりなく、また上層部の意向を第一として行動する人物として描かれています。

実際の企業マンはこんな人物ばかりではないと思いますが(そうでないと会社が倒れるので)、上層部の評価を得ている者は、部下からの支持は得にくい、というのはあたっているかもしれませんね。

本書はいわゆる企業ものとされる小説ですが、少し恋愛っぽい部分もあって硬派一辺倒ではないので、わりと読みやすいと思います。

妻とは家庭内別居の状態にある井狩は「順子」の常連である三千代に気持ちを寄せ始め、また妻を亡くした元銀行マンの藤倉は「順子」のママと恋愛関係にあるのです。

こんなふうにいくつになっても恋愛ができるなんて、羨ましいですね。

きっと年齢を重ねても、女性らしさを持ち続けている人なんでしょうね。

最近雑誌で、年をとっても「オバさん」と呼ばれない人と呼ばれる人の違いは、3つのくびれがあるかどうかであるというのを読みました。

その3つは、ウエストのくびれ、足首のくびれ、あごのくびれ(つまり二重あごになっていないかどうか)を指すそうです。

さっそく我が身のチェックをしてみたところ、現時点ではまだなんとか許せる範囲だったので、少し安心したのですが、近い将来「オバさん」と呼ばれて、とっさに振り向いてしまう自分の姿が想像できないこともないのです…。


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雪冤/大門剛明

雪冤(せつえん)とは、無実の罪をすすぎ晴らすこと、という意味だそうです。

そのタイトル通り、冤罪事件が登場しますが、内容は冤罪よりも死刑制度に重点が置かれています。

『横溝正史ミステリ大賞』を受賞した長編ミステリーで、京都が舞台です。

雪冤雪冤
(2009/05/29)
大門 剛明

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若い男女が、その女性の家で何者かに惨殺されるという事件が起こり、その犯人としてその2人と親しくしていた八木沼慎一という京大在学中でありながら、既に司法試験に合格した若者が逮捕されます。

慎一は無実を訴えますが、裁判は進み、最高裁で死刑判決が確定します。

慎一の父で元弁護士の八木沼は、息子の無実の罪を晴らそうと尽力しますが、刑事罰が厳罰化となる風潮の中で、死刑執行数も増えており、慎一の死刑執行もいつなされるか、わからない状況となっていました。

時効が目前に迫り、真犯人は見つからずともせめて再審請求をしたいと弁護人の石和とも話し合う中、真犯人と思われる人物から連絡が入ります…。


最後の最後まで二転三転して、真犯人が誰なのかわからず、気が抜けませんでした。

そして、主題となる死刑制度に関しては、登場人物の言葉を借りた筆者の考えが熱く語られていました。

本書の中で、死刑とは被害者遺族が一時的に苦しみから逃れるためのものではあるかもしれないが、決してその苦しみを無くしてしまうものではないと書かれています。

確かに、そうかもしれません。

憎むべき犯人が死刑になれば一時的には溜飲が下がるかもしれませんが、愛する家族を失った苦しみが無くなるわけではありませんから。

けれども、遺族が犯人には死をもって罪を償ってほしいと考えるのも、当然だと思います。

死刑制度を廃止か存続か、だけではなく、もう少し踏みこんで考えさせられる内容です。


本書はミステリーとしても十分おもしろいのですが、舞台が京都ということで、京都に暮らすワタシにはどこが登場するのかにも興味がありました。

まずは、「出町柳」という、京都大学と同志社大学という、京都を代表する国立と私立の大学のほぼ中間に位置している、京都人なら誰もが知っている(と思う)地名が登場します。

しかし、その後は京都人でも読めない人がいるかもしれない「帷子の辻(かたびらのつじ)」、前を通っても見落としそうなぐらい小さな「大将軍八神社」、神社の多い京都ではマイナーな「白峯神社」など、京都人でも知らないような地名も頻繁に出てくるのです。

その他、京都市の南に位置する宇治市(十円玉に刻まれている平等院鳳凰堂がある街)の「黄檗(おうばく)」という何の変哲もない地名も登場し、京都と大阪を結ぶ「京阪電車」が大活躍します。

筆者は京都出身ではないのですが(ちなみに三重県)、大学が京都だったようなので、思い入れがあるのかもしれませんね。


こんなふうに、自分のよく知っていることやものが話題に上ると、テンションが上がり、「自分はこんなによく知っているんだー」と知識をひけらかしたくなりませんか?(ワタシはなります)

しかし、これって、聞かされているほうからすると、「うざっ!」となりますよね?

なので、おそらく今これをお読みいただいている方は、ワタシのことを「うざっ!」と思われているに違いありません…。


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女は男の指を見る/竹内久美子

女性の方、男性の指って気になりますか。

このタイトルは、男性の指にはセックスアピールがある、という意味なのですが、といっても、内容はそれからイメージするような軽いものではなく、京都大学の博士号を持つ筆者が、人間を含めた動物たちの生殖に関する国内外のおもしろい研究結果をピックアップしてわかりやすく説明しています。

科学的に分析されているので、納得しながら笑えます。

女は男の指を見る (新潮新書)女は男の指を見る (新潮新書)
(2010/04)
竹内 久美子

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人差し指に対して薬指が長いほど、男性ホルモンの代表格とされるテストステロンのレヴェルが高く、男性的な魅力にあふれているらしいです。

といっても、それはイケメンだという意味ではなく、男性としての機能、つまり生殖能力が高いということで、一生に産む子どもの数がある程度限られている女性は、メスとしての本能から出来るだけ質の良い精子を選んで、免疫力の強い子孫を残そうとするため、それを見極めようと男性の手に目がいくのだそうです。

その他にも、ハゲというのは病気に強い遺伝子であるため、淘汰されることなく現代まで残っているそうで、見た目的にはイケてないとされても、遺伝子的にはイケてるということになるようですね。


しかし、ワタシは男性の手に目がいくということはあまりないですね。

読み終えてから、手近なところでオットの手をまじまじと見てみましたが、既にワタシにとって人畜無害となっている人(かつては少しぐらいは刺激があった)だからなのか、全く惹かれるものはなく、「こんな手をしていたんだ」と思ったぐらいでした。

もしかしたら、ワタシが子孫を残すという作業を終えたため(とりあえず2人産みました)、より良い遺伝子を探し出そうとするメス本来のカンが鈍ってきているからかもしれません。

メスとしてはリタイアしても、まだまだ人間としては生きていかないといけないかと思うと、なんだか空しくなるような…。


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こんなに違う 京都人と大阪人と神戸人/丹波 元


関西以外にお住まいの方は、京都人と大阪


人と神戸人を十把一絡げにして、関西人と思


われているかもしれませんが、実は全くと言


いたくなるほど違います。


生まれも育ちも京都(ついでに結婚しても京


都)のワタシにとって、大阪の人や神戸の人


は異郷の人とまでは言いませんが、「よその


人」という感じはぬぐえません。


本書は、そんな京都人と大阪人と神戸人をあ


らゆる方向から比較して、筆者の視点で違い


を述べています。


本のはなし ホンの少し


三者の話し言葉の違いに関しての記述は、筆


者の持論とは若干違いますが、ワタシも常々


感じていることだったので、わりとおもしろく読


めました。


京言葉の象徴とされる「○○どす」や「△△は


ん」という敬称は、さすがにかなりの年配の方


か花街の方以外は使わなくなっていますが、


「××したはる」は今も年代を問わず、頻繁に


使いますね。


筆者も述べていますが、これはいわゆる敬語


とは違います。


ワタシは大学に入学してすぐ、大阪から通って


いた友人に「京都の人って、何にでも敬語使う


なあ」と言われて、軽いカルチャーショックを受


けたのを覚えています。


「したはる」が敬語だという認識はあまりなかった


もので。



そして、三者の気質についても比較しています。


気質といえば、京都はいじわるという意味に近い


「いけず」がよく知られていますね。


「ぶぶ漬けでもどうどすか」は「早く帰れ」のサイン


であり、これが京都人が「いけず」であることの象


徴とされているようです。


確かに京都人は底意地が悪いかもしれません。


でも、「いけず」という言葉のニュアンスは、「いじわ


る」に比べて、もう少しかわいげがあるように思いま


す。


「いやぁー、いけずやわー。」


などという言い回しは、花街の方でなくても、京都


の女性なら普通に使います(最近の若い子は知り


ませんが)が、ホントに底意地の悪い人には言った


りしませんから。



しかし、京都と大阪と神戸を比較した本を紹介して


いるはずなのに、京都のことばかり書いてしまって


いるようで、スミマセン…。


でも、京都って、ホントにいいところなんですから。


夏は蒸し暑くて、冬は底冷えがして寒く、春と秋の


観光シーズンは観光客でごった返して、街中の道


路は至るところ渋滞していますけど…。



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