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新・御宿かわせみ「華族夫人の忘れもの」/平岩弓枝


「御宿かわせみ」はくり返しドラマ化されている


人気時代小説ですが、「新・御宿かわせみ」と


なる本書は舞台を江戸時代から明治維新後


に移して、旧編の登場人物たちの、成人した


子どもたちが主人公となっています。


舞台と登場人物は変わっていますが、「御宿


かわせみ」の世界は失われていませんでした。


本のはなし ホンの少し


本書が新編の第1作ではないため、旧編の主


人公たちの維新後の様子がわからないのです


が、それでも十分おもしろく読めます。


旧編を読んだことが無い方でもすんなり入れる


と思います。


あらたな主人公たちも、彼らの親たち同様に人


情味厚く、それぞれの事件解決に尽力していま


す。


6つの短編からなる本書の中で「牛鍋屋あんじゅ」


は、自分の持つ才を生かすため、また愛する妻子


のために、維新の混乱に乗じて罪を犯した男性が


周囲の人を巻き込んで、さらなる犯罪に手を染め


てしまう哀しい物語です。


いつもながらなのですが、罪を犯した者の、そこに


至る事情が哀しくて、やっぱり新編になっても「御


宿かわせみ」だなと思わせてくれました。




新編の主人公たちも、旧編の主人公である彼らの


親たちと同じく、恵まれた容姿と秀でた才能を持ち、


そのうえ人情味に厚いのです。


それによって、それぞれの短編が成り立っているの


ですが、考えようによってはこのような完璧な人たち


というのは嫌みっぽくもありますね。


でも、そう感じさせないのは、舞台が現代ではなく、


江戸または明治時代だからではないでしょうか。


私たちの何世代か前の人が実際に生きた時代で


はあっても、京都―東京間を徒歩で移動した人々


のことを、同じ距離を新幹線や飛行機でわずか数


時間で移動する私たちからすると、同じ土俵に立


つことなど考えられないのではないでしょうか。


だからこそ、彼らを嫌みに感じたりせずにいられ


るような気がします。



そして、頭が良くて人情味の厚い彼らが差し出す


好意は、さりげなくてスマートです。


しかし、それは本当に困っているときなら素直に


受け取れても、そうでなければ、なんだか見下し


てる?と思ってしまっても不思議ではないかもし


れません。


ひねくれているワタシなら、そう考えてしまうと


思います。


なので、江戸・明治時代が舞台なら圧倒的な支


持を受ける「御宿かわせみ」ですが、現代では成


り立たないような気がします。



複雑なものが増えてきた現代は、人間の感情も


複雑になってきているのかもしれません。


いや、単にひねくれ者が増えてきただけ、とも


言えなくはないのですが…。



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