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卒業/重松清

夫婦にしろ、親子にしろ、恋人にしろ、憎み合うとまではいかなくとも、多少なりとも相手を憎む部分を持たなければ、別れを受け入れることが出来ないのではないでしょうか。

本書は標題作を含む4編からなる短編集です。

その中の「追伸」は、幼い頃に実の母と死に別れ、その母が幼い息子への未練を綴った日記を読んだため、その母を美化してしまい、父の再婚相手とうまく関係が結べないまま40歳になった男性が主人公です。


卒業 (新潮文庫)卒業 (新潮文庫)
(2006/11)
重松 清

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40歳にして作家となった「僕」は、小学1年生のときに亡くなった母が今も生きているかのように理想の母として描いたエッセイを発表します。

しかし、実際には母亡き後、父は「僕」が5年生のときに再婚して、一度もお母さんと呼んだことが無い「ハルさん」に育てられており、このエッセイによって、「僕」は「ハルさん」の存在を認めていないことを家族に公表してしまうことになります。

実母はこの世と幼い息子への未練を綴った日記を残していて、父から再婚直前にその日記を見せられた「僕」は、切々と綴った母の自分への思いを知ったため、あらたに母となる「ハルさん」にうまく打ち解けられないまま大人になり…。


読み終えて、やっぱり作家はすごいな、と思ったのが、「僕」が亡き母の日記を父から見せられた時期でした。

死の直後の1年生では内容を理解できなかっただろうし、大人になってからだと冷静に向き合うことができてしまい、こんなに深く彼の心に刻み込まれることはなかったと思います。

母への思慕は募るのに、言葉や態度でうまく表現できないまま、その後反抗期に突入する5年生という年齢だからこそ、「僕」はこのような態度をとり、このストーリー展開があったのだと思います。


同じ筆者の「その日のまえに」では、幼い子を残して亡くなる母が 「(自分のことを)忘れていいよ」 と遺言を残すのに対して、この「追伸」では、死にゆく母が未練を切々と綴った日記を残します。

ワタシならどうするだろうな、と考えたのですが、弱いワタシは未練たらたら泣き言を繰り返し、残される家族を困らせるに違いありません。


幼い頃に母と死別するということは、美しい関係のまま別れを迎えるため、子どもの心に母の存在を強くうえつけてしまうことになるのかもしれません。

ワタシが子どもの頃繰り返し読んだ「次郎物語 第1部 (偕成社文庫 4042)」も、小学生の頃に経験した母の死が、主人公のその後の人生に影響を与えています。

天寿を全う、とまではいかなくとも、とりあえずひと通りのことは済ませたとされる年代で母が亡くなった場合は、子は多かれ少なかれ母に対する嫌悪の情を心のどこかに秘めているので、母との別れをすんなり受け入れることができるのかもしれません。

なので、今ワタシにもしものことがあった場合、息子たちがワタシとの別れを受け入れることができないというようなことがないよう、心をオニにして、息子たちをガミガミ叱っているのです…。


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