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下流の宴


「それなりの教育を受け、平穏な家庭を営む


主婦由美子の悩みは20歳になる息子が中卒


のフリーターになったこと」


本書の新聞広告がこれ↑でした。


ものすごく興味をそそられて、読み始めたら、


林真理子ワールド全開でした。


本のはなし ホンの少し


東京で専業主婦として暮らす由美子の悩みは


息子の翔が受験して入学した中高一貫校を


高校で中退して、フリーターになったことでした。


由美子の夫は早稲田の理工学部を卒業して、


メーカーに勤めるサラリーマンであり、由美子


自身も医者の娘で、地方ではありましたが、


国立大学を卒業していました。


由美子は教育熱心でしたが、子どもたちに超


一流の大学に進ませようと考えていたわけでは


なく、自分たち夫婦が受けてきた教育と同じぐら


いか、少し上あたりの教育を受けさせるつもりで


いました。


それなのに、よりにもよって、翔は高校すら卒業


せず、将来の見えないフリーターとなり、しかも、


それに満足していることに由美子は強い憤りを


覚えるのでした。


そのうえ、沖縄の離島出身のフリーターの女の子


と同棲まで始めて・・・。






文句なしに面白く読めました。



由美子の「子どもに、親と同じか、その少し上ぐらい


の教育を受けさせたい」という考えは、大抵の親が


持つものではないでしょうか。


かく言うワタシもそうですね。


だからこそ、冒頭の新聞広告に強く惹かれたワケ


です。



由美子の苦悩は、一歩間違えれば我が身にも起こり


得ることでもあるので、読み進むうちにもう少し緊迫感


が伴ってきてもいいようなものですが、そこが林真理


子の世界で、そうはなりません。



由美子の考えは95パーセントぐらいは共感できるの


ですが、残り5パーセントぐらいは、ある種の滑稽さが


つきまとうのです。


笑うというより、あとになってから、首をひねりたくなる


滑稽さでしょうか。



それ故、自分とは違うんだ、と思うことができ、おもしろ


いまま読み終えることができるのではないでしょうか。



しかし、由美子の考える「中流」というのは、お金持ちや


貧乏に比べて、面倒くさい世界かも知れません。


何をするにも、これは私たちごときがしていいものかど


うか、私たちならこれぐらいのことはしなくてはならない


のでは、というのをいちいち確認しながら、事を進める


のですから。


これが、いわゆる年配の方が言う「分相応、不相応」とい


うものなのだとは思いますが。



そこへ行くと、お金持ちの方には迷いがないですね。


うちの子の同級生に、お母さんが有名なお金持ちのお嬢


さんという方がおられるのですが、その方がPTAの会報


にいじめについて投稿されたものが、このような内容↓


だったのですから。


「私は幼い頃から、あの子は私たちとは違ってお家がお


金持ちだから同じような付き合いはできないのよ、と


友達のお母さんが言っていたのを聞いて悲しかったの


で、差別は良くないと思います。」



周囲の思惑を気にすることなく、自分の考えを披露でき


るのはお金持ちの方だけの特権なのでしょうか。


中流庶民にはなかなか難しいワザのようですが・・・。


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